太陽光パネルの温度特性について

 太陽光発電は全天日射量(光のエネルギー)に比例して発電します。

 月の発電量を月の全天日射量で割り、さらにシステム容量で割って各発電所を比較してみました。

 2種類のパターンがあることが分かりました。

 

 実際の環境では、結晶系(単結晶、多結晶)シリコンのパネルは浅いUの字のような形になりました。特に夏季はパネルの表面温度が高くなるため発電効率が悪くなり、逆に夏季ほど温度が高くならない冬季は発電効率は良くなります。また冬季は長波長光が多い(赤い方の光が好き)ため条件はあまり悪くなりません。同じ光エネルギー量で比較すると、夏季は調子が出ず、冬季は絶好調になります。ただし、夏季の方が冬季より日射量は断然多いため、発電量自体は夏季の方が大抵の場合多くなります。

 

 非結晶系(アモルファス・シリコン)のパネルは低い山のような形になりました。夏季は温度が高くなっても結晶系ほどは効率が落ちない(結晶系の半分で済む)ため良く発電します。冬季の光は短波長光が少ない(青い方の光が好き)ため光の条件は悪くなり、発電するには不利となります。同じ光エネルギー量で比較すると、夏季は好調で、冬季は調子が出ません。ただし、夏季に発電量を稼ぐため、年間トータルの発電量は結晶系より10%程度多くなると言われています。

 

 設置環境下において、温度、光の条件が同一であれば、同じ日射量から得られる発電量は常に同じ、つまりグラフは横一線になることが推測できます。実環境ではパネルの表面温度、モジュールの光感度特性によって発電性能が変わります。システムの正常性を単純な発電量から判断することは難しいと言えます。 

 なお、全天日射量データは気象庁のホームページから調べることができます。 

 

発電量、全天日射量、日照時間のグラフ比較

 事例1は非結晶系パネルですが、全天日射量のグラフと発電量のグラフの形が非常によく似ています。日照時間のグラフとはまったく似ていません。太陽光発電が日照時間ではなく、全天日射量に比例していることを示す最も分かりやすい例と言えます。 

 事例2以降は結晶系シリコンのパネルです。温度特性を考慮して見る必要があります。もし1年を通じて温度が同じであったと仮定すると、グラフは夏場(真ん中辺り)がもう少し上に上がり、冬場(両端部分)はもう少し下に下がります。そのように見ていくと、全天日射量のグラフの形に近づくことが推測できると思います。

 太陽光発電量は全天日射量に比例します。

発電量         全天日射量        日照時間

事例1

事例2

事例3

事例4

発電量              全天日射量             日照時間

全天日射量とは

 太陽からのエネルギーの放射を「太陽放射」と言います。この太陽放射のうち波長0.29~3.0μm(マイクロメートル)の太陽放射を「日射」と言い、下記のように分類されます。
 (1)直達日射  日射の中で太陽面から直接入射するもの
 (2)散乱日射  大気や雲などで散乱・反射され太陽面以外から入射するもの
 (3)全天日射  (1)の直達日射と(2)の散乱日射を合計したもの

 

 日射量(日射のエネルギーの大きさ)は、単位時間・単位面積あたりの瞬間値と、それをある時間積分した積算量で表されます。日射量の単位は瞬間値についてはkW/㎡(キロワット毎平方メートル)、積算値についてはMJ/㎡(メガジュール毎平方メートル)を使用しています。
 ちなみに「日照時間」は直達日射(0.12kW/㎡以上)の時間を合計したものです。

 太陽光発電は曇りや雨でも空が明るければそれなりに発電しますので、その発電量合計を無視できません。同じ日照時間でも朝夕と昼、冬季と夏季で光の強さ(エネルギー量)はまったく違います。発電量が日照時間に比例すると思われている方が結構いらっしゃいますが、光のエネルギー量をまったく考慮していない日照時間から発電量を予測することは極めて困難ということです。

 

経年劣化について

 太陽光発電量は全天日射量に比例しますので、「年間発電量÷年間全天日射量(月平均の総和)÷システム容量」の数値を毎年出します。1kW当たりシステムが1平方メートル当たり1MJ(メガジュール)という光のエネルギーで年間どれだけ発電したかということです。初年度の値を「100」とした場合、2年目以降の年が何%に当たるかをグラフ化してみました。
 もし経年劣化がないとすれば、どの年も大体同じぐらいの発電量があり、グラフはほぼ横一線で推移するはずです。

初期の段階で性能が下がりましたが、その後の低下はなだらかで、20年経過時点で86%になっています。なお、この発電所では現在19年以上連続でパワコンが稼働中です。

HITは産総研予想でもあまり経年劣化しないとされていますが、実データからもそのような傾向が見られます。船橋N発電所では、1kWシステム当たりの年間発電量は1,400kWh近くに達しています。

山武Kの17年目は、陰の影響が少ないところへパネルを移設した結果、発電量が増えグラフが上がりました。

 すべてのパネルにおいて、徐々に右肩下がりであることが分かります。残念ですが経年劣化はあります。
 性能低下の原因ですが、シリコン自体は劣化を起こしませんので、考えられることは次の3点です。
 1.モジュールの強化ガラスとセルとの間に充てんされる透明な樹脂が紫外線で

   黄変して光の透過率が低下する
 2.パネル表面が汚れる(経年の汚れ、鳥のふんなど)
 3.パワコンの性能(変換率)が低下する 
 
 古い製品は経年劣化対策が十分でなかったようで、初年の能力を100%とすると、大体10年経過で90%程度に落ちています。しかし、最近の製品は対策が強化され、メーカーは「結晶シリコン等、多くの製品の低下量は20年間で1割未満」と言っています。あまり心配する必要はなさそうです。

 屋根の塗り替え時にパネル表面を洗ってもらうと、効果があります。

 

 経年劣化については下記サイトも参照ください。

 産業技術総合研究所による出力劣化特性評価実験で、ソーラーパネルの種類による経年劣化の差を計測し、1年目の出力値を100%とした場合の10年・20年・25年目の出力を、ソーラーパネルの種類ごとに算出した結果が載っています。 

 実証実験によるソーラーパネルの経年劣化